待望の再演決定!ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』の簡単解説
今回ご紹介するのは宝塚歌劇団でも東宝でも上演されたミュージカル作品『1789-バスティーユの恋人たち-』です。
1789年とはフランス革命が起こった年。
フランス革命が舞台となっているので、ストーリーの内容も分かりやすい作品なのではないかな?と思っています。
この作品について語るのは制御が効かなさそうですが(好きすぎて)、落ち着いて分かりやすくお伝えできるように頑張ります!
では早速作品について解説していきたいと思います。
『1789-バスティーユの恋人たち-』って??
フランス革命のはじまりである「バスティーユ襲撃」を描いた物語で
民衆と王宮の対立である革命物語、その中で生まれる恋物語をテーマとしたミュージカル作品です。
民衆視点で進むストーリー
『1789-バスティーユの恋人たち-』は民衆にスポットを当てたフランス革命のミュージカル作品です。(ここからは作品名を1789と略しますね)
宝塚ではお馴染みの「ベルサイユのばら」などは王室から見たフランス革命の物語なので、ストーリー展開はもちろん革命に対する視点が全然違う所が新鮮で面白いです。
ちょこっと基本情報
ミュージカル1789について
- 元々はフランスで初演されたフレンチ・ロック ミュージカル作品。
- 日本では2015年に宝塚歌劇団月組で初演、2023年に星組で再演。
2016年、2018年に「小池徹平&加藤和樹」により東宝版公演が上演されました。 - スタッフ:小池修一郎(潤色・演出)
知って欲しい!小池修一郎さん
日本の劇作家・舞台演出家で宝塚歌劇団所属
宝塚歌劇や東宝を含む様々な舞台演出を手がける天才
小池作品はどれを見ても間違いありません。
宝塚版・東宝版どちらも観劇したのですが、曲や歌詞が少し違う点がありました。
大前提として舞台の進み方も構成もほとんど同じなのですが、、
「宝塚版で見たこの場面が無くなっているけど、新曲ある!」や
「衣装も舞台装置の使い方も全く一緒じゃなくて面白い」と楽しめました!
私の宝塚ファン人生でずっとご贔屓様だった
宝塚歌劇団月組トップスター龍真咲(りゅうまさき)さんが日本で初演された思い出の作品なんです♡宝塚に通っていた頃を思い出します、、♡
主な登場人物
革命派
- ロナン (主役)
父を銃殺された貧しい農民の青年
フランス王室や貴族に強い憎しみを抱き革命を夢見る
オランプと身分違いの恋に落ちる - カミーユ
革命家でジャーナリスト。プチ・ブルジョワ - ダントン
弁護士。 - ロベスピエール
第3身分出身の若い議員。 - ソレーヌ
ロナンの妹、ロナンを追いかけてパリに出てきた
は革命3人組でパリに来たロナンを歓迎し後に仲間となります。
フランス王族・王党派
- オランプ
王太子の教養係。 - マリー・アントワネット
フランスの王妃。 - フェルゼン
スウェーデンの将校。王妃の愛人。 - アルトワ伯爵
国王の弟。
パリで革命派と出会い人生が変わっていく青年ロナン
異なる立場にありながら彼と惹かれ合う宮廷の侍女・オランプ
王妃、母、女としての運命に立ち向かうアントワネットと秘密の恋人・フェルゼン伯爵。
そして民衆の先頭に立つ若き革命家、ロベスピエール、ダントン、デムーラン…
登場人物たちの織りなす人間ドラマと革命の様子が繰り広げられます!!
時代背景から読み解くあらすじ
あらすじ解説の前に簡単な時代背景とプチ情報についてお話ししますね!
時代背景
18世紀末フランス、貴族が贅沢な暮らしを送っているなか、貧困に苦しむ民衆たちの間では革命への気持ちが次第に高まっていきます。
バスティーユの恋人?なんでバスティーユ?
作品の副題である『バスティーユの恋人』だけど
どんな意図があるの?
バスティーユには監獄があり(バスティーユ監獄)、王家の古い城で大量の武器や弾薬が保管されていました。
ルイ16世の政治に不満を持った市民たちは、反乱を起こすために武器を確保しようとバスティーユ監獄を襲撃したのです。
この出来事こそがフランス革命の始まりなのです。
「バスティーユ」と「民衆」の深い繋がりが分かります。
18世紀末のフランス革命の始まり(バスティーユ襲撃)までの歴史的物語と、
その間で生まれる恋愛物語を絡めた作品だということを表現しているのだと思います!
簡単なあらすじ
~はじまり~
1789年初頭、税金を払えず、土地を取り上げられに理不尽に父親を銃殺された青年ロナンは復讐を胸にパリに出ていく。パリで、デムーラン、ロベスピエール、ダントンといった
革命家たちと出会い、自由・平等という思想に目覚める。
~その頃宮殿では~
農民たちの不満を理解していな貴族たちが贅沢三昧な暮らしを送り、
王宮ではマリーアントワネットを中心に楽しいパーティーを毎夜繰り広げられていた。
~ロナンとオランプの出会い~
病弱な王太子(アントワネットの息子)の養育係オランプは、マリーアントワネットとフェルゼン伯爵の密会を手助けするために出向いたパリの街で、ロナンと運命的な出会いをする。対立する立場の2人は互いに惹かれ合うが身分の差が2人を苦しめる。
(ロナンは平民だけどオランプは王家の教育係)
自由に愛し合える世界を作ろうと革命に力を注ぐロナン。
貴族に使える立場と恋人への想いに揺れ動くオランプ。
~民衆VS王家だけではない~
ロナン革命活動も順調に進むのかな?と思いきや、、
初めは革命を先導するロベスピエールら含め民衆が一体となり革命活動に燃えていました。しかし、革命運動の先頭に立っているロベスピエールらはプチ・ブルジョワと呼ばれる人たちで、ロナンたちのように本当に貧しい経験をしたことがありません。
プチ・ブルジョワとは
資本家と労働者との中間層の人。
貴族ではないが、民衆ほど貧しくもないイメージ。
市民の中では富裕層。
革命活動を続けている間に彼らと貧しい民衆との間に亀裂が入ってしまいます。
彼らの中で色んなドラマが繰り広げられる中、フランスの歴史も大きく揺れ動く
愛と自由を求めて戦った若者たちの運命を
フレンチロックミュージカルでお届けします。
1789の魅力
【私が思う1789の特徴】
音楽、ファッション一つとっても、独特のニュアンスがオシャレで現代的。
ここからは1789の世界観を実際に見て感動した点をお伝えします!
華やかな衣装
1789を観劇して、まず圧倒されたのが衣装です。
演出の小池修一郎氏は宝塚歌劇団所属なので、美しいものを魅せることがとても得意です。
ロナンら民衆の衣装は“色”と“素材感”によりをデザインを工夫されているそうです。
私が圧倒されたのは、マリーアントワネットが最初に登場する際に着用している衣装です。
王宮の宴のシーンなので舞台セットも一番華やかで煌びやかな場面です。
最初は布で衣装を隠しているのですが、歌の途中で衣装チェンジする豪華な演出!!
紅白歌合戦の小林幸子さんみたい!と一瞬思ったのですが、
衣装担当のの生澤美子さんは、まさに小林幸子さんの衣装を担当されていたと知り納得しました!!
フリルもストーンの量もが桁違いで、今まで観劇してきた中でも、特に豪華で華やかな衣装でとても印象に残っています、、。
衣装は最高品質の陶器をイメージして作成されたのだそうです!
(インスピレーション受けるものが登記ってすごいですよね
これは北海道旅行で美術館に行った際に展示されていたヨーロッパの陶器です。
どの陶器を見て衣装を作成されたのかは不明ですが、こちらも最高級の陶器。
衣装の色合いやイメージがマリーアントワネットの衣装の雰囲気に似ているような気がして
掲載してみました、、!
東宝バージョンの1789の制作発表会の様子です!
衣装の豪華さが伝わってほしい、、
迫力あるダンス
民衆の気持ちを表現するシーンが多数あるのがこの作品の特徴です。
- 1幕ラスシーン
主人公・ロナンや革命家たち、マリー・アントワネットのソロ、ロナンとその恋人・オランプのデュエットなど、1曲の中で様々なキャラクターに焦点が当たり、革命を前にした一人一人の思いが語られるシーン。
革命の足音がそこまで聞こえ始めている、、
民衆が団結し始め、ここから革命が始まる!!と気持ちが高まると同時に、貴族も平民も誰もが心に葛藤を抱えて自分が信じ愛するもののために生きていきたいという切ないシーンです。 - 2幕の冒頭シーン(テニスコートの誓い)
2幕冒頭では客席の後方から出演者たちが登場し舞台に上がります!!。ビートの効いたロックナンバーに合わせ、民衆達が歌い踊る姿は圧巻の迫力で終始鳥肌が止まりませんでした。激しいダンスで表現される革命の乱闘シーンは、臨場感と迫力があり革命へ向かう熱量を存分に感じられるシーンになっています。
「テニスコートの誓い」の場面
テニスコートの誓い(球戯場の誓い)ともいう。
フランス革命発端の一つとなった事件。
ロック調が斬新な楽曲
ミュージカルだけどコンサートに来たのかな?と思うほど会場を大迫力で包み込む音楽!
~私が好きな曲~
サ・イラ・モナムール
「サ・イラ・モナムール」はフランス語で「愛する人よ、きっとうまくいく」という意味で、現代を生き、悩んだり迷ったりする私たちにもやる気や勇気をくれる名曲です。
2幕終盤に民衆が歌うのですが、「それぞれの愛の形、革命に対する熱気」が詰まった場面で盛り上がりまくります!! 1789と言えばこの曲!って感じなので是非一度聞いてみて下さい
神様の裁き
マリーアントワネットが革命を覚悟して、母として妻として女としての人生を全うすると決意を表現する曲。
1幕では天真爛漫な姿でしたが、この曲を歌う2幕では徐々に王妃としての自覚をもつ心情が素敵に描かれています。
シンっとした空気感の中でハープの演奏が始まり、しっとりと繊細な曲調で場面が進んで一気ます。
声なき言葉
1幕ラストの場面で、ラストを飾るのにふさわしい大迫力のナンバーです。
こちらはダンスシーンでも紹介したのですが、曲も最高なんです、、!
自分達が歴史を変えるんだ!という思いを立ち上がることを決意する壮大な楽曲。
勇気を出し立ち上がろう 俺たちの声を届けよう
明日の歴史を変えるのだ
上記は曲の一部の歌詞なのですが、
民衆の革命に対する心情を語る歌詞がとても胸に刺さります。
この曲は民衆側だけではなく貴族側の葛藤も混ざり合いながら構成されているので、出演者も観客も気持ちがグッと熱く高まる場面となっています。
最後に
今回はフレンチロックミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』についてご紹介させていただきました!
現時点では2025年4月に東宝版の再演が決定したことのみ公表されており、詳しいキャストはまだ分かりません。
そのためファンの間では、「誰がロナン役をするのかな?」「オランプは○○さんかな?」など想像上で勝手に配役を決めていく時間がとっっても楽しいのです笑
(チケット販売やキャスト紹介も間も無く発表されるかな?と思ってワクワクしてます)
楽曲の良さ・衣装の美しさ・迫力のあるダンス、、
まさに総合芸術作品です。
どのミュージカルもですが毎年上演されるわけではなく、次いつ観劇できるか分からない貴重な機会です。(1789も7年ぶりの再演です)
観劇初心者の方も是非一度フレンチロックの新しい世界に浸ってみませんか